ここは関西からは遠いのですね。前から登ってみたかった岩場でした。今回のメンバーは、以前新潟に住んでいて谷川岳を何度も登ったことのあるMさんに九州から来てもらって、アルパイン本番初めてのTさんを含め3人です。
今回計画していたルートは、まずは定番の南稜、2日目は中央カンテ、そして余裕があれば3日間のどこかで衝立岩雲稜ルートの試登としていました。
しかしながら、初日の南稜が混雑していたなどいろいろあって登攀終了が遅くなり、おまけに南陵テラスに戻ったら雨でテールリッジがべったり濡れ、夜間、つるつるのテールリッジをとてつもな時間をかけて戻ることになってしまいました。そのため2日目の中央カンテは中止、二人で朝遅くに出発して衝立岩雲稜の試登をすることとなりました。
■9月13日(1日目)
前日深夜、東京から車で移動しました。到着時間が遅かったのでこの日の出発は完全に夜が明けてからとなりました。
衝立岩基部(中央稜取り付き)から南陵テラスにトラバース(写真左)、ここは、帰りは雨に濡れていてめっちゃ怖かった場所です。このテラスから南陵ルートの登攀開始です。
終了点から見ると高度感抜群です。ここは最後に核心部があります。でも濡れていたのでちょっとリードは不安で、ワンポイントA0になってしまいました。
南稜記録
○南陵テラス到着 9時45分
先行パーティがいてしばらく待ってスタートする。
○登攀開始、10時15分ごろ
最初の2ピッチはMさんリード。岩が脆いと聞いていたがわたしの感覚では十分しっかりしていて快適。簡単な3ピッチ目でアルパイン本番初めてのTさんにリードをトライしてもらったが、残置ピンに惑わされてルートを間違え断念、クライムダウンして元にもどってもらう。大幅なタイムロスとなったため、後続2パーティに順番をゆずり、残りのピッチは榊原がリードして飛ばす。まだ彼には本番でリードをするのは早すぎたようで反省。
○登攀終了 15時
このルートの最後のパーティとなったので登ってきたルートを懸垂下降とする。経験の少ない人がいるので覚悟はしていたが、3人とはいえ、懸垂下降の段取りにかなり時間がかり、夕暮れが迫ってくる。
○懸垂下降終了南陵テラスにもどる 17時
ここで雨が降りだし、つるつるの岩のアプローチは最悪の状態。いずれにしろ夜間行動になるのでゆっくり、時間をかけて下山。途中テールリッジで懸垂下降を二回行う。この場所をよく知っているMさんがいなかったらおそらくビバークを選択すべき状態でした。結局、一ノ倉沢の出合に戻ったのはなんと22時で、翌日の行動は未明からはとても無理、Mさんと2人で衝立岩雲稜ルートの試登だけにすることに。
テールリッジ
アプローチとなるテールリッジ、噂には聞いていましたがツルツルでほんと悪かったです。特に今回は下山時に雨で濡れましたから、いつ滑ってもおかしくない状態でした。残置ロープが古くなっているものや無くなっている場所がいくつかあったので、次回ここに来るときは古いロープを持ってきて危ない箇所を修復しようと思ってます。
*テントサイトは、一ノ倉沢出合ではなく、土合駅よりも下の道路沿いの秘密の場所。ロープウエイ駅までは車で移動しなければなりませんが、外食やコンビニへも行けてとっても快適。こういうパターンは御在所岳に似ています。岩場のスケールは全然違いますが。
■9月14日(2日目)
この日は、Mさんと2人で衝立岩の雲稜ルートの試登に行きました。昨日の深夜までの行動があったので、朝遅くに出発し、テールリッジを終えたのが11時過ぎ。ここから衝立岩の取り付きまではトラバースなのですが、ここがとても悪い。特に残置ロープのある笹と土の壁はなかなかの難関です。結局取り付きまでロープを2ピッチ出して1時間ほどかかり、これ以上登るとまた夜間行動になりそうので、ここで試登というか偵察を終わりにし、すぐにロープを使ってテールリッジに戻りました。
衝立岩全貌
雲稜ルート取り付き。しっかりとしたアンカーが設置されています。ここに大量のボルトが残置されていました。これを使って古くなったボルトを打ち直せということなんでしょうね。ルートのピンの状態はここからではよくわかりませんが取り付きに来るだけでも1時間ほどかかることをちゃんと覚えておく必要があります。
取り付きから第一ハングを見上げる(写真左)。1ピッチ目は左のルンゼから登ります。岩は登られていないので苔があってフリー部分は掃除しながら登らないといけないですね。
写真右は取り付きまでのトラバースの様子です、ロープにぶら下がりながら笹の中をもがきます。
来年は実力をつけてこのルートを登ってみたいです。
*2日目は16時過ぎには登山口まで降りたので、近くの温泉に入り、その後は外食にしました。Mさんに教えてもらったテントサイトはほんと便利で快適です。
■9月15日(3日目)
3日目は遠くから来ている人もいるので、結局クライミングは無しとし、朝、一ノ倉沢まで散歩してそのまま東京に戻りました。一ノ倉沢周辺の林道はランニングには最適の道なので、次回は最終日はこの林道を朝ランしようと考えています。
天気が悪くてなかなか山に登れなかったこの夏シーズン。初めての一の倉で1本でも登れたのは幸運だったかもしれません。この岩場まだまだ登ってみたいルートがいっぱいあり、当面の目標も一つ具体的に出来たので次に向けて練習を重ねようと思ってます。
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