映画「アイガー北壁」見ましたか。
山の映画なので「見なくちゃ」と思って何も調べず先日見てきました。でもこれって例によってたくさんクライマーが死んでしまう悲しい映画だったんですね。公式サイトはこちら。
山の映画ってどうしてこんなに人が死んでしまうのでしょうか。夢を実現する明るい映画がもっとあってもいいのに。映画館は、予想どおり年配の方が多かったですね。
この映画、山岳映画としてはとても良くできていました。アクションものの山岳映画はプッと笑ってしまう変なところがたくさんあるのですが、この映画は、完璧だったと思います。それだけに山をやっている私には、自分が現場にいるようで、とっても重い映画でした。ちなみに、映画の中に出てきた振り子トラバースは彼らが生み出したのでしょうか。
某有名俳優が出演した映画では、壮絶なラッセルのシーンでその本人の背中にはワカンがザックについていたそうです。そう昨年見た山の映画でも、急な雪渓の登りで突然飛び出すようにスリップして滑落停止するシーンがありました。こんなシーンがあるとシリアスな山の映画が台無しになるのですね。
「アイガー北壁」は山をやっている人は是非見てほしい映画です。
技術もないのに他力本願で本番の山を登ってしまって多くの人を巻き込んで大惨事の原因を作ってしまう、そして、そういったパートナーの状態が途中でわかっても変な優しさから無理やり登り続け、下山を断行する勇気のないリーダ。こんな後悔の残る山は絶対にしたくない。映画は、初登攀間近だった主人公のパーティが、後から着いてきた実力不足のパーティに巻き込まれて登頂を諦めるばかりか、自身も命を落としてしまう悲しい映画です。
先日、八ヶ岳の中山尾根を登ったとき、セカンドで上部岩壁をまったく登れない人に遭遇しました。そのため、わたしは岩の途中で30分くらい動けませんでした。登っている様子を下から眺めるとこの方、とてもアイゼン登攀の練習をしてきたとは思えませんでした。わたしだったら、まず連れて来ないし、途中でそれがわかったら下山します。時間がかかりすぎるし、バテられてしまったら、下山するのも難しくなってしまいます。
思い起こせば、学生時代、北鎌尾根を5月に登ったとき、新田次郎の小説でも読んだのでしょうか、キャラバンシューズにビニル袋を付けて私たちのトレースを使って登ってくるとんでもない輩に遭遇しました。ザイルが必要なところが何箇所もあるのでと忠告し、きっとその場所を見たら降りるだろうと思って先行しました。でもなんと後から来た別の大学のパーティが、ご親切にザイルを付けて難所をクリアさせて、引き下がれない場所まで突っ込ませてしまいました。その後、特に事故の話は聞かなかったので槍ヶ岳の頂上まで連れて行ったのでしょうね。でもその大学のパーティの内一人が、その後、雪彦の岩場(姫路市)で亡くなりました。
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