しばらく山とランは遠のいています

仕事、そしてコロナの関係でしばらく山やランからは遠ざかっています。来年の春から復帰できるようそろそろ運動再開していきたいと思います。ちなみに今、BIツールのPower BIが半分趣味になって、完全な運動不足になっています。20201020

2010年8月8日日曜日

【夏山】丸山東壁 緑ルート 報告

7月31日~8月1日は、黒部の丸山東壁に行ってきました。

今回のルートは、中央壁緑ルート、目標の終了点まで9ピッチです。有名なルートですが、この山域はあまり入山者もなく、岩場は私たちの独占となりました。穂高の屏風岩や北岳のバットレスとはまったく違って追い立てられることもなく自分たちのペースで登れます。
31日は黒部ダムから移動してBCにテントを張ったあと、試登を1ピッチして、翌日は6時前から登り始めました。

  
今回、天気はかなり良いはずだったのですが、曇り、小雨で当日は下部二ピッチはかなり濡れていました。一部、びしょ濡れで怖かったので1ピッチ目に私がボルトを一本打ちました。ルートはあまり登られていないこともあって部分的にブッシュが生い茂り、泥もへばり付いて簡単なはずの場所がかなり微妙で、2ピッチ目でパートナーが1本ハーケンを打ちました。本来であれば草付き部分にもう一本ピンを追加したかったです。
ちなみに、前日試登したときに、1ピッチ目でボルトに導かれて古いルートに入り込んでしまい、岩が剥がれてその隙間にアリの巣があって全身アリとその繭だらけになってしまいました。さらに、草付きが剥がれそうだったりでかなり不安定で、結局ロワーダウンして本来のルートに戻りました。


3ピッチ目は、快適なA1です。ただ、ビレイは、テラスが無く、アブミビレイで、足が痺れます。

 
4ピッチ目の三日月ハングです。ここは張り出しもあまり大きくなく、簡単に乗り越えました。



三日月ハング
を乗り越えるところです。

  
三日月ハングを越えると、5、6ピッチ目は快適なA1です。ただ、6ピッチ目に、右にトラバースして最後の確保点に抜けるところは完全な木登り。きっと探せばピンもあるのでしょうが、草が生い茂って見つかりません。木にアブミをぶら下げて這い上がりますが、かなり微妙です。次回来るときはここにピンを打ち足したいです。ここを抜けるとあと1ピッチ登って、広い中央バンドに出ました(草が生い茂っていました)。

  
バンドからいよいよ核心部です。まずわたしが大ハング基部まで高度を稼ぎました(8ピッチ目)。ここまでもいろいろあったので、タイムリミットが近づき、疲れた体にむち打って急いで登ります。

 
大ハング基部はアブミビレイ。いよいよ、パートナーがこの大ハングを越えます(9ピッチ目)。彼が見えなくなるところまでは順調でした。
彼がハングを越えて見えなくなったころ、事件が起きました。あと5mのところで、アブミを掛けて3段目に乗ったところ、そのハーケンが破断してしまいました。この時刻ではとても登り返す時間はありませんでした。


パートナーを中央バンドまで降ろし、わたしは懸垂下降をセットして退却することにしました。ハングの下にヌンチャクを5本程度残置しました。でも、怪我がなくて良かったです。上の写真はわたしの最高到達点です。

下山した時点では、このルートほとんど登ったのでもうここに来ないと考えていましたが、問題箇所もわかったので、来年、ハーケンが折れた場所の補強を準備して再挑戦したいなと今は思っています。これから登る人は、薄くて短めのクロモリハーケンがこの部分必要です(ひょっとしたらボルトを打ち込む必要があるかもしれません)。外見はしっかりしたピンも、年月が経っているので内部はかなり弱っていますので十分注意が必要です。あまり登られていないルートは、時間をかけてじっくり登らないといけないですね。

なお、今回、上記の他にも小型カメラで動画を撮りました。大ハング乗越しも撮れているはずです。これは後日ご紹介します。



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30年ぶり(?)に黒部のトロリーバスに乗りました。この山域はわたしはいつも天気が悪くてあまり良い想い出がありません。中学のとき、亡き父と母と私の3人で初めて黒部立山アルペンルートを旅行したときも天気は良くなったです。
黒部ダムを下流に200mほど下り、下の廊下を歩いて内蔵助谷の丸山東壁BCに向かいます。ダムを下って渡る木橋はなかなかスリルがあります(下の右端の写真)。滑ったら命はないですよね、緊張しました。
  

内蔵助谷に向かう下廊下(しものろうか)は、まだ残雪がいっぱいです。内蔵助谷出合い手前の丸山沢はとんでもない雪が残っていました。当然下は水が流れていますから大きなスノーブリッジです。これが崩れたら当然命はないです。
内蔵助谷から少し登ると丸山東壁が見えてきます(下の右端の写真)。

  

内蔵助谷出合い近くのテント場は平坦でしたが、虫が多そうなので通過しました。
結構登って、河原を整地してテントを張りました。水の音が結構うるさかったのですが、この日は(7月31日)はこの後、取り付きを下見と下部岸壁の試登に出かけました。ここから20分程度で取り付きに着きます。



ちなみに、このルート、学生時代は合宿で2週間分の食料など重いキスリングを背負って真砂まで二日かけて歩きました。今は人影も少なく、道も荒れています。すれ違った登山客は数人です。

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今回の山行で活躍したギア。
この岩場、沢の音が大きくて声がほとんど通りません。トランシーバが大活躍でした。
また、下降は懸垂下降が連続するのですが、ペツルのシャントは懸垂下降のバックアップに最適で、ほんと安全で便利でした(下の写真でビレイループにセットしたギア)。アルパインクライミングは、懸垂下降中にいろいろ作業が発生するので、空中停止が容易なこのギアは重宝しました。


2 件のコメント:

官兵衛 さんのコメント...

ブログ、時々拝見しています。
さかきさんのファンです。老人ですが・・(笑)
丸山は残念だったですね。
でも体力と情熱がひしひしと伝わってきて読んでいても心地よかった。
丸山東壁、奥鐘山西壁、大タテガビン・・・。
最近はあまり登られてないようですね。大昔のクライマーとしては寂しい限りです。
安全第一でこれからもガンガン登って下さい。
そうそう、真似をして小型ムービーカメラを買いました。ヘルメットに付けるか、スキーブーツに付けるか、楽しみです。

榊原淳 さんのコメント...

>官兵衛さん
コメントありがとうございます。
丸山東壁は来年もっとしっかり準備して行こうと思います。
小型ムービーカメラおもしろいですよ、スキーにはばっちりですね。