ただ、今回はリーダであるわたしが大きなポカをしてしまいました。
今回の山行は、FunClimbクラブ(詳しくはこちら)のフリークライマー男女二人を同伴しました。彼らは本番岩登りは初めてです。その二人の内の一人Kさんに最終ピッチで左腕に怪我を負わせてしまいました。同時に、あの悪条件で最終ピッチを見事OSしたHさん、本来だったら終了点で大満足で喜ぶところなのにどっちらけにしてしまいました。二人にはほんと申し訳なく思っています。
最終ピッチ、サードで同時登攀中のわたしが何でもないところでフォールしてしまいました。わたしのザイルにテンションがかかり1~2m伸びました。わたしの真上6~7mほどにある二番目のハング下にいたセカンドのKさん、わたしのザイルと壁の間に左腕が挟まってしまい、ローブで擦過傷を負ってしまいました。
Kさんには近くのピンでまずセルフビレーをとってもらい、わたしは急いでKさんの横まで登って状況確認をしました。怪我の出血は少なかったのですが、擦過傷は痛みがきついので左腕に半分くらいしか力が入らないとのこと。ロワーダウンで降りることも考えましたが、終了点まであとわずかなことと、終了点でビレイしている本番初めてのHさんが懸垂下降のアンカーをきちんとセットできるか不安だったので、終了点までアブミで登ることにしました。
終了点ではKさんは傷口を自分の複数枚の絆創膏で保護しました。そこから懸垂下降1ピッチして、エスケープルートに入って取り付き地点にもどりました。急いでアプローチ道を下って赤岳鉱泉にもどり、そこで防水フィルムを貼ってもらってさらに傷口を保護しました。
サードのわたしは、一番目の小ハングで大同心特有の壁に埋め込んだような突起をスタンスにして右足に体重をかけていたのですが、次の動作に入ろうとした瞬間右足にかかっていた体重が抜けてフォールしました。この突起、小ぶりでしたが水平なスタンスだったはずなので多少濡れていてもしっかり乗っていたはずです。この突起が外れたのか、わたしがへんな方向に体重をかけたのでスリップしたのかはその瞬間目で追えていないスタンスだったのでわかりません。他にもスタンスはいろいろ取れたので、確認不足、サードで慎重さが足りていませんでした。情けないです。
そして、同時登攀のリスクもあまりよく考えていませんでした。ビレイの支点がしっかりしていること、ザイルにテンションがかかって伸びてもクライマー同士が当たらない間隔で登ること、それ以上のことを考えずにお気軽に使っていました。セカンドはサードのザイルの位置を意識し、サードは自分のザイルの位置に注意を払う。お互いに声を掛け合いながら、止まったり動いたり、ランニングビレーを回収したり付け替えたりしないといけない。初めての人を連れて行く立場でありながら理解不足でした。
今回大きな事故にならなかったのは不幸中の幸いでした。少し気持ちを整理して安全に登れる努力を続けたいと思います。
以下、今回の上記以外の山行記録を記載します。
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山行記録
21日土曜日
天候;15時くらいから深夜まで雨降り続く
午後入山、赤岳鉱泉テント泊
22日日曜日
天候;曇り&霧、一時ガスがかなり薄くなるが
13時ごろ頂上付近でときどきガスが濃くなって水滴が混じる
夕方は夕立となる。
夕方は夕立となる。
前日の雨の状況から早朝に登るのは無理だろうと、朝はすべての登山者がテントサイトにいなくなるような時間帯に出発しました(8時前)。
赤岳鉱泉から大同心は見えていましたが、壁は登れる状態ではないだろうなと思っていました。時間は十分あるので、だめもとで取り付きまで行って判断することにしました。
赤岳鉱泉から大同心は見えていましたが、壁は登れる状態ではないだろうなと思っていました。時間は十分あるので、だめもとで取り付きまで行って判断することにしました。
他の場所だったら登るようなことはないのですが、大同心は昨年、夏、冬に登ってルートはわかっているし、途中エスケープも出来て懸垂下降もし易い。本来人工ルートなのでピンは豊富でポイントポイントはしっかりしたピンが整備されており、フリーが無理だったら人工で登れるピッチが半分はある。多少濡れていても登れるかもという期待がありました。
大同心の取り付きに着くと右の小同心を登っているパーティを発見。岩を触ってみると、砂のような岩質なので水はけはよく、湿っていてもフリクションは効きそう。わたしは人工でリードすることにして登ってみることにしました。
●1ピッチ目 リード;榊原
大同心の取り付きに着くと右の小同心を登っているパーティを発見。岩を触ってみると、砂のような岩質なので水はけはよく、湿っていてもフリクションは効きそう。わたしは人工でリードすることにして登ってみることにしました。
●1ピッチ目 リード;榊原
9時15分ごろ登攀開始。
途中まで昨年とまったく同じように登れたのでこのままフリーで行ってやろうかと思ったのですが、小ハングにかかると水が垂れているし、ガバの連続ですが濡れいるホールドはどうも不安。私は人工で抜けることにしました。さらに、上の草付きに抜けるとしっかり濡れていて、もうこのピッチで止めようかなと思いました。ただ、フリークライマー二人は楽しそうに軽快にフリーで登ってきて、ガスも薄くなってきたので続行としました。
途中まで昨年とまったく同じように登れたのでこのままフリーで行ってやろうかと思ったのですが、小ハングにかかると水が垂れているし、ガバの連続ですが濡れいるホールドはどうも不安。私は人工で抜けることにしました。さらに、上の草付きに抜けるとしっかり濡れていて、もうこのピッチで止めようかなと思いました。ただ、フリークライマー二人は楽しそうに軽快にフリーで登ってきて、ガスも薄くなってきたので続行としました。
●2ピッチ目 リード;榊原
前回も濡れていたピッチ、今回はべた濡れ。1ピッチ目と同様に人工で抜けることにしました。フリークライマー二人は絶妙にフリーに挑戦。濡れた凹角は手強かったようです。Kさんは完全にフリーで登って来たとか。
●3ピッチ目 リード;Kさん
濡れているととってもやらしい草付きピッチ。前回も気持ち悪かった場所。Kさん本番初リード、途中悩んでいましたがゴールのピナクルに到達。ピナクルにどうやってアンカーを設置するかちょっと心配でしたがこれもクリア。
●3ピッチ目 リード;Kさん
濡れているととってもやらしい草付きピッチ。前回も気持ち悪かった場所。Kさん本番初リード、途中悩んでいましたがゴールのピナクルに到達。ピナクルにどうやってアンカーを設置するかちょっと心配でしたがこれもクリア。
●4ピッチ目 リード;Kさん
●6ピッチ目 リード;Hさん
いよいよ核心部。時間はタイムリミットとして決めていた12時30分ぎりぎり。頂上近くなのでガスが濃く時々水滴も。15分ほど様子を見て、いつでも人工に切り替えれるように無理をしないことを条件にHさんリード開始。さすがです、この湿った状態でHさん見事にOS。お見事でした。
この後上述のとおり、わたしがポカして終了は13時40分ぐらいでしょうか。
終了点は古いロープで懸垂下降の支点が残置されていて、ピンにこれ以上ロープを通せない状態。一部ロープを切断して持参の捨て縄で懸垂下降の支点を補強。1ピッチ懸垂下降して6ピッチ目の取り付き点にもどり、そこからは大同心沢側にトラバースするエスケープルートで下降路に合流し大同心取り付きに戻りました。
そこで登攀具を整理した後、大急ぎで赤岳鉱泉に着いたのは15時半くらい。そのころには夕立になりましたが、駐車場に着く頃にはかなり天気は回復していました。
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